糖質制限中に知りたいさつまいもの基本特性
糖質制限ダイエットを始めると、多くの方が「甘いものは一切ダメ」と思い込んでしまいがちです。しかし、実はさつまいもは糖質制限中でも上手に活用できる優秀な食材なんです…!
現在の私は、糖質制限の専門知識を持つ栄養士として、多くのダイエッターの方々にアドバイスをしてきました。その中で感じるのは、さつまいもに対する誤解の多さです。確かに甘みが強く糖質も含んでいますが、GI値や調理法を工夫することで、むしろダイエットの強い味方になってくれるのです。
重要な注意事項:糖質制限中はさつまいもを主食にするのは控えた方が良いでしょう。さつまいもは栄養価が高く、食物繊維も豊富なため、主食に置き換えてみたいと考える人も増えていますが、味からもわかるように甘みが強く、野菜の中では糖質が高めです。主食に置き換えるのではなく、バランスよく摂取するように心がけることが重要です。
このように言うと驚かれる方も多いのですが、さつまいもは他の主食と比較して決して高糖質食品ではありません。むしろ、豊富な食物繊維やレジスタントスターチ、独特の成分であるヤラピンなど、ダイエットに有効な栄養素がたっぷり含まれているんです。
さつまいもの主要品種と糖質量比較
まず知っておきたいのが、さつまいもの品種による糖質量の違いです。一般的に「さつまいも」と呼ばれる品種は数多くありますが、糖質制限中に選ぶべき品種があることをご存知でしょうか?
文部科学省の食品成分データベースによると、一般的なさつまいもの糖質量は以下のようになっています。品種による詳細な差異については、今後の研究が待たれるところですが、形状や食感から推測される傾向をご紹介します。
品種・形状 | 推定糖質傾向 | 特徴 |
---|---|---|
ホクホク系(紅あずま等) | 比較的低糖質 | 細長い形・水分少なめ |
ねっとり系(安納芋等) | 高糖質傾向 | 丸みを帯びた形・甘み強い |
しっとり系(紅はるか等) | 中程度 | なめらかな食感 |
鳴門金時 | 比較的低糖質 | ホクホク系・糖質が比較的少ない |
この傾向を見ると、糖質制限中におすすめなのは紅あずまや鳴門金時といったホクホク系の品種です。これらは細長い形状で水分が少なく、相対的に糖質が低めになる傾向があります。
一方で、安納芋や紅はるかなどのねっとり系・しっとり系は糖質が高めの傾向があります。ただし、これらの品種も調理法を工夫すれば糖質制限中でも楽しめます。例えば、冷やして食べることでレジスタントスターチが増加し、実質的な糖質量を減らすことができるのです。
100gあたりの糖質量と他の食材との違い

さつまいもの糖質量を正確に理解するためには、他の食材との比較が重要です。多くの方が「さつまいもは高糖質」と思い込んでいますが、実際のデータを見ると意外な事実が分かります。
文部科学省の食品成分データベースによると、生のさつまいも100gあたりの糖質は29.7g、カロリーは126kcalです。皮付きの場合は、100gあたりの糖質は31g、カロリーは127kcalとなります。これを主食と比較してみましょう。
- 白米(精白米):糖質37.1g、カロリー156kcal
- 食パン:糖質46.4g、カロリー248kcal
- うどん(茹で):糖質20.8g、カロリー95kcal
- そば(茹で):糖質24.0g、カロリー114kcal
- パスタ(茹で):糖質28.4g、カロリー149kcal
このデータを見ると、さつまいもは白米や食パンよりも糖質が少ないことが分かります。特に食パンと比較すると、糖質は約16g、カロリーは約121kcalも少ないんです…!
また、他のイモ類との比較も興味深い結果を示しています。じゃがいもは100gあたり糖質17.3g、里芋は13.1gと、確かにさつまいもより低糖質です。しかし、さつまいもには他のイモ類にはない独特の健康成分が豊富に含まれているため、単純な糖質量だけでの判断は適切ではありません。
注意:いも類の中でもさつまいもは糖質が高く、糖質制限中はなるべく避けた方がいい食材とする専門家もいます。同じいも類であるじゃがいもと比較すると、約1.7倍ほどの糖質が含まれています。ただし、ビタミンやミネラル、食物繊維といった栄養が豊富に含まれている点は大きなメリットです。
GI値から見るさつまいもの血糖値影響
糖質制限ダイエットにおいて、糖質量と同じくらい重要なのがGI値(グライセミック・インデックス)です。GI値とは、食後の血糖値の上昇度合いを表す指標で、この数値が低いほどダイエットに適しているとされています。
そして驚くべきことに、さつまいものGI値は55程度と、低GI食品に分類されるのです…!これは糖質制限ダイエッターにとって非常に嬉しいニュースですよね。
GI値の分類基準
・70以上:高GI食品
・56〜69:中GI食品
・55以下:低GI食品
他の食材のGI値と比較すると、さつまいもの優位性がより明確になります。
- じゃがいも:GI値90(高GI)
- 白米:GI値84(高GI)
- 食パン:GI値91(高GI)
- うどん:GI値80(高GI)
- そば:GI値59(中GI)
- さつまいも:GI値55(低GI)
このデータを見ると、さつまいもは主要な主食の中で最も低いGI値を持つ食材の一つであることが分かります。つまり、血糖値の急激な上昇を抑え、インスリンの過剰分泌を防ぐことができるのです。
ただし、調理法によってGI値は大きく変化することも知っておく必要があります。次の項目で詳しく解説しますが、焼き芋にするとGI値は80〜85まで跳ね上がってしまうため、糖質制限中は蒸したり茹でたりする調理法を選ぶことが重要です。
冷やすことで変化する糖質の特性

ここで注目したいのが、さつまいもを冷やすことで起こる驚くべき変化です。実は、加熱したさつまいもを冷却することで、レジスタントスターチという成分が増加し、実質的な糖質量を減らすことができるんです…!
レジスタントスターチとは、小腸で消化・吸収されにくい「難消化性でんぷん」のことです。でんぷんではありますが、食物繊維と同様の働きをするため、エネルギーになりにくく、腸内環境の改善にも役立ちます。
宮城教育大学の研究によると、さつまいも100gあたりのレジスタントスターチは以下のように変化することが確認されています。
- 茹でた直後:6.17g
- 24時間冷蔵:7.32g(約18.6%増加)
- 電子レンジで再加熱:7.16g(わずか2.2%減少)
この結果は、冷やし焼き芋が単に美味しいだけでなく、栄養学的にも優れた調理法であることを示しています。冷却により増加したレジスタントスターチは、再加熱してもほとんど減少しないため、温め直して食べても効果を維持できるのです。
さらに、レジスタントスターチは大腸まで到達すると発酵し、短鎖脂肪酸を生成します。この短鎖脂肪酸には脂肪燃焼を促進する効果があるため、ダイエットにとって非常に有益な成分なのです。
米や芋類に含まれる一部のレジスタントスターチは、冷やすことで増える性質があります。これはでんぷんが冷えて老化することで、消化酵素が働きにくくなるという仕組みによるものです。レジスタントスターチを摂るために、冷めたままのご飯や芋を食べる必要性は低いといえそうです。
1本あたりの糖質量と適正摂取量
実際にさつまいもを食べる際に気になるのが、1本あたりの糖質量ですよね。さつまいもの大きさは様々ですが、一般的なサイズごとの糖質量を把握しておくことで、糖質制限中でも安心して摂取できます。
サイズ | 重量 | 糖質量 | カロリー |
---|---|---|---|
小さめ | 100g | 29.7g | 126kcal |
中くらい | 200g | 59.4g | 252kcal |
大きめ | 300g | 89.1g | 378kcal |
糖質制限ダイエット中の適正摂取量としては、朝食時に小さめのさつまいも1/2個(約50g)が推奨されます。これなら糖質量は約15g程度に抑えることができ、1日の糖質制限目標値(50〜130g)の範囲内で楽しむことができます。
ただし、これは他の食事での糖質摂取量も考慮した上での目安です。例えば、厳格な糖質制限(1日20g以下)を行っている場合は、さつまいもの摂取は控えめにするか、他の糖質源を大幅に減らす必要があります。
また、摂取タイミングも重要なポイントです。さつまいもは100g当たりの糖質が28gと、糖質が多く含まれています。そのため、夜に多く食べると、消費できずに脂肪に変わりやすくなってしまいます。朝食や昼食時に摂取することで、日中の活動によってエネルギーとして消費されやすくなります。
糖質制限を成功させるさつまいも活用法
前述の通り、さつまいもの基本特性を理解したところで、次は実際の活用法について詳しく解説していきます。糖質制限中でもさつまいもを楽しむためには、調理法や食べ方に工夫が必要です。
多くのダイエッターが陥りがちなのが、「制限」ばかりに注目して「活用」の視点を忘れてしまうことです。しかし、さつまいもは適切に活用すれば、糖質制限ダイエットの強力なサポート食材になってくれるのです…!
低糖質を実現する調理のポイント
さつまいもの糖質を効果的に制限するためには、調理法の選択が極めて重要です。同じさつまいもでも、調理法によってGI値や実質的な糖質量が大きく変わることを覚えておきましょう。
最も推奨される調理法は蒸し調理と茹で調理です。これらの方法では、GI値を大幅に抑えることができ、さつまいも本来の甘みも楽しめます。また、栄養素の流出も最小限に抑えられるため、ビタミンCや食物繊維を効率よく摂取できます。
調理法 | GI値 | 推奨度 | 特徴 |
---|---|---|---|
茹でる | 40~50 | ★★★ | 最も低GI・栄養流出に注意 |
蒸す | 45~50 | ★★★ | 栄養素保持・調理時間15-20分 |
電子レンジ | 50~60 | ★★ | 手軽・600W で4-5分 |
揚げる | 70~80 | ★ | カロリー増加・要注意 |
焼く | 80~85 | △ | 高GI・冷やして食べる工夫必要 |
茹で調理も優秀な選択肢です。ただし、水溶性ビタミンが流出する可能性があるため、茹で汁も一緒に摂取できるスープ仕立てにするなどの工夫をすると良いでしょう。
一方で、焼き芋は糖質制限中には注意が必要です。長時間の加熱によってでんぷんが麦芽糖に変化し、GI値が大幅に上昇してしまいます。どうしても焼き芋を楽しみたい場合は、一度焼いたさつまいもは、冷やすことでGI値を下げることができます。ダイエット中にどうしても焼き芋が食べたいときは、冷蔵庫で冷やしてから食べましょう。
太りにくいさつまいもレシピ7選

ここからは、糖質制限中でも安心して楽しめる、太りにくいさつまいもレシピを7つご紹介します。これらのレシピは、GI値を抑える調理法と、満腹感を高める工夫を組み合わせたものです。
1. 冷やし蒸しさつまいも(調理時間:20分+冷却時間)
最もシンプルで効果的なレシピです。さつまいもを皮つきのまま蒸し器で15〜20分蒸し、粗熱が取れたら冷蔵庫で一晩冷やします。レジスタントスターチが最大限に増加し、GI値も大幅に下がります。
- 材料:さつまいも50g(糖質約15g)
- 調理法:皮つきのまま蒸し器で15-20分
- ポイント:冷蔵庫で一晩冷やしてレジスタントスターチを増加
2. さつまいもとキノコのスープ(1人分糖質約18g)
さつまいも50g、しめじ100g、玉ねぎ50gを使った低糖質スープです。野菜の食物繊維がさつまいもの糖質吸収を緩やかにし、満腹感も得られます。コンソメで味付けし、最後にパセリを散らして完成です。
- 調理時間:15分
- キノコの食物繊維で血糖値上昇を抑制
- 温かいスープで満腹感アップ
3. さつまいもサラダ(マヨネーズ控えめ)
茹でたさつまいも80gを冷まし、きゅうり、レタス、トマトと合わせたサラダです。マヨネーズは大さじ1/2程度に抑え、代わりにオリーブオイルとレモン汁でさっぱりと仕上げます。
4. さつまいものポタージュ(豆乳ベース)
蒸したさつまいも60gと無調整豆乳200mlをミキサーにかけ、コンソメで味を調えたポタージュです。牛乳の代わりに豆乳を使うことで糖質をさらに抑えられます。
5. さつまいもチップス(オーブン焼き)
さつまいもを薄切りにし、オリーブオイルを軽く塗ってオーブンで焼いたヘルシーチップスです。市販のポテトチップスと比べて糖質もカロリーも大幅にカットできます。
6. さつまいもと鶏胸肉の煮物
さつまいも70g、鶏胸肉100g、大根100gを出汁で煮込んだ和風の煮物です。たんぱく質と食物繊維が豊富で、血糖値の上昇を抑える効果が期待できます。
7. さつまいもグラタン(カリフラワー入り)
さつまいも50gとカリフラワー150gを使ったグラタンです。カリフラワーでかさ増しすることで糖質を抑えながら満腹感を得られます。チーズは控えめにして、代わりにハーブで風味をつけましょう。
さつまいもダイエットを行う際は、「焼く」「蒸す」など調味料をなるべく使わない調理法で行いましょう。さつまいものカロリーや糖質は決して少ないものではないので、油やバターなどの調味料を多く使ってしまうと、カロリーオーバーになってしまいます。
低糖質スイーツ作りのコツと材料選び
糖質制限中でも甘いものが恋しくなることがありますよね。そんな時は、さつまいもを使った低糖質スイーツがおすすめです…!さつまいも本来の甘みを活かすことで、砂糖の使用量を大幅に減らすことができます。
低糖質スイーツ作りの基本は、甘味料の選択と食物繊維の活用です。さつまいもには天然の甘みがあるため、人工甘味料に頼りすぎる必要がありません。
- エリスリトール:砂糖の代替として最適(カロリーゼロ)
- ステビア:天然甘味料で血糖値に影響しない
- ラカント:エリスリトールとステビアの混合品
- アーモンド粉:小麦粉の代替として使用
- おからパウダー:食物繊維豊富で満腹感アップ
また、さつまいもスイーツを作る際は、冷やして食べることを前提に設計しましょう。前述の通り、冷却によってレジスタントスターチが増加し、実質的な糖質量を減らすことができます。
おすすめのレシピとしては、さつまいもプリンやさつまいもムースがあります。ゼラチンや寒天を使って固めることで、少量でも満足感の高いスイーツに仕上がります。卵や豆乳を組み合わせることで、たんぱく質も同時に摂取できるのも嬉しいポイントです。
糖質制限向けおすすめ品種の見分け方
スーパーや直売所でさつまいもを選ぶ際、糖質制限に適した品種を見分けるコツがあります。外見だけでは判断が難しい場合もありますが、いくつかのポイントを押さえることで、より適切な選択ができるようになります。
まず、形状に注目しましょう。一般的に、細長い形のさつまいもはホクホク系の品種が多く、糖質が比較的低めです。一方、丸みを帯びた太い形のものは、ねっとり系で糖質が高めの傾向があります。
- 細長い形:紅あずま、鳴門金時など(低糖質傾向)
- 太い形:安納芋、紅はるかなど(高糖質傾向)
- 皮の色:赤紫色が濃いものほど抗酸化成分が豊富
- 重量感:ずっしりと重いものは水分が多く新鮮
- 表面:傷が少なく、なめらかなものを選ぶ
また、産地も重要な判断材料です。寒冷地で育ったさつまいもは、でんぷんの蓄積が少なく、相対的に糖質が低めになる傾向があります。北海道や東北地方産のさつまいもは、糖質制限中の方におすすめです。
購入時期についても考慮しましょう。収穫直後のさつまいもは水分が多く、糖度が低めです。一方、貯蔵期間が長いものは水分が抜けて糖度が上がります。糖質制限中は、できるだけ収穫時期に近いものを選ぶと良いでしょう。
電子レンジ調理のメリットと注意点

忙しい現代人にとって、電子レンジでの調理は非常に便利です。さつまいもも電子レンジで手軽に調理できますが、糖質制限中は使い方に注意が必要です。
電子レンジ調理の最大のメリットは、短時間で調理できることと栄養素の流出が少ないことです。蒸し器を使う場合と比べて、ビタミンCの損失を約30%削減できるという研究結果もあります。
ただし、電子レンジでの加熱はGI値を50〜60程度まで上昇させる可能性があります。これは蒸し調理(45〜50)と比べてやや高めです。そのため、以下の工夫をすることをおすすめします。
- 加熱時間を短めに設定:中心部がやや硬めでも問題なし
- 皮つきのまま調理:皮が栄養素の流出を防ぐ
- ラップで包む:水分の蒸発を防ぎ、均一に加熱
- 調理後は必ず冷やす:レジスタントスターチを増やすため
- 竹串で穴を開ける:破裂を防ぎ、加熱ムラを減らす
具体的な調理手順としては、中サイズのさつまいも(200g程度)を皮つきのままラップで包み、600Wで4〜5分加熱します。一度取り出して上下を返し、さらに3〜4分加熱すれば完成です。
電子レンジ調理の注意点として、加熱ムラが生じやすいことが挙げられます。太い部分と細い部分で火の通り方が異なるため、竹串を刺して確認しながら調理しましょう。また、加熱しすぎると水分が飛んでパサパサになってしまうため、様子を見ながら時間を調整することが大切です。
皮の活用法と栄養素の保存テクニック
さつまいもの皮には、実は驚くほど豊富な栄養素が含まれています。糖質制限中こそ、この皮の栄養を無駄にしてはいけません…!皮を上手に活用することで、ダイエット効果を大幅に高めることができるのです。
さつまいもの皮に含まれる主な栄養素は以下の通りです。
- クロロゲン酸:血糖値上昇を抑制するポリフェノール
- アントシアニン:抗酸化作用が強い紫色の色素
- 食物繊維:皮なしの約1.3倍の含有量
- カリウム:むくみ解消に効果的なミネラル
- ビタミンC:皮の下5mmに約80%が集中
皮を美味しく食べるためのコツは、しっかりと洗浄することと適切な調理法を選ぶことです。土や汚れをたわしでよく落とし、流水で十分にすすぎましょう。有機栽培のさつまいもなら、より安心して皮ごと食べることができます。
また、皮にも多くの栄養素が含まれているので、可能なら「皮ごと」食べるようにしましょう。皮を食べることで、さつまいもを皮なしで食べると食物繊維は100g中2.2gですが、皮つきだと2.8g摂ることができます。たった0.6gの差ですが、厚生労働省によれば、15〜64歳の女性の1日の食物繊維の推奨摂取量は18g以上とされているため、決してあなどれない量です。
皮つき調理におすすめの方法は以下の通りです。
- 蒸し調理:皮が柔らかくなり食べやすい
- オーブン焼き:皮がパリッとして香ばしい
- スープ煮込み:皮の栄養が汁に溶け出す
- 素揚げ:皮チップスとして楽しめる
栄養素を最大限に保存するテクニックとして、低温調理がおすすめです。60〜70℃の低温でじっくりと加熱することで、熱に弱いビタミンCやポリフェノールの損失を最小限に抑えることができます。
また、調理後の保存方法も重要です。冷蔵庫で保存する際は、ラップで包んで乾燥を防ぎましょう。冷凍保存する場合は、一度加熱してから冷凍することで、解凍後も美味しく食べることができます。
糖質制限中の間食におすすめの食べ方
糖質制限ダイエット中の間食は、多くの方が悩むポイントです。しかし、さつまいもを上手に活用すれば、罪悪感なく満足感の高い間食を楽しむことができます…!
間食としてさつまいもを食べる際の基本ルールは以下の通りです。
- 量は50g以下に抑える:糖質約15gに相当
- 午後3時までに摂取:夜間の脂肪蓄積を防ぐ
- 冷やして食べる:レジスタントスターチを活用
- よく噛んで食べる:満腹中枢を刺激
- 適度な水分摂取:食物繊維の効果を高める
食事と置き換える場合は、「朝ごはん」か「昼ごはん」がおすすめです。さつまいもは100g当たりの糖質が28gと、糖質が多く含まれています。そのため、夜に多く食べると、消費できずに脂肪に変わりやすくなってしまいます。
特におすすめの間食スタイルは、冷やし蒸しさつまいもの小分けパックです。週末にまとめて蒸したさつまいもを50gずつ小分けして冷蔵保存しておけば、平日の間食に便利です。
また、さつまいもチップスも優秀な間食オプションです。薄切りにしたさつまいもをオーブンで焼き、塩やハーブで味付けすれば、市販のスナック菓子の代替品として楽しめます。カロリーは市販品の約半分、糖質は約3分の1に抑えることができます。
間食のタイミングも重要な要素です。食事と食事の間隔が5時間以上空く場合は、血糖値の安定のためにも適度な間食が推奨されます。特に昼食と夕食の間(午後2〜3時頃)は、代謝が活発で脂肪として蓄積されにくい時間帯です。
ただし、間食でさつまいもを摂取した場合は、その日の他の食事で糖質量を調整することを忘れずに。1日の総糖質量をコントロールすることが、糖質制限ダイエット成功の鍵となります。
医学的観点からの注意事項と相談の重要性
糖質制限中のさつまいも摂取について、医学的な観点からの注意事項も重要です。特に糖尿病や脂質異常症などの疾患がある方は、主治医との相談が不可欠です。
結論からいうと、糖尿病や脂質異常症などの治療で糖質制限をしていたとしてもさつまいもを食べても問題ありません。ダイエット中と同じように、糖質制限中に「絶対NG」といえる食べ物はありません。糖質制限は文字通り摂取する糖質を控えることです。糖質を多く含む食品を控えることは必要ですが、食事全体の糖質摂取量を意識することが重要です。
GIとは、「グライセミック・インデックス(Glycemic Index)」で、特定の食品を食べた時の血糖値の上昇度合いを数値化したものです。数値が100に近いほど血糖値が上がりやすい食品であり、低ければ低いほど血糖値が上がりにくい食品であるということになります。
食事療法で血糖値のコントロールをしている方で、なるべく血糖値を上げない食べ方をしたいという方はGIの活用もおすすめです。ただし糖尿病で内服中の方やインスリン治療中の方は、主治医の指示に従い食事療法にGIを取り入れるようにしてみましょう。
重要な医学的注意:糖尿病治療中の方、インスリン使用中の方、その他の疾患で食事制限を受けている方は、さつまいもの摂取について必ず主治医にご相談ください。個人の病状や治療方針によって、適切な摂取量や頻度が異なる場合があります。
まとめ:糖質制限中のさつまいも活用で健康的なダイエットを

ここまで、糖質制限中におけるさつまいもの活用法について詳しく解説してきました。多くの方が「糖質制限中はさつまいもNG」と思い込んでいますが、実際には適切な知識と調理法があれば、むしろダイエットの強い味方になってくれることがお分かりいただけたでしょうか。
重要なポイントをもう一度整理すると、さつまいもはGI値55程度の低GI食品であり、レジスタントスターチや食物繊維、ヤラピンなどの有効成分を豊富に含んでいます。ただし、主食としての置き換えは推奨されず、適量を適切なタイミングで摂取することが重要です。
特に注目したいのは、冷やすことで増加するレジスタントスターチの効果です。宮城教育大学の研究によると、24時間冷蔵することで約18.6%増加し、この成分は食物繊維と同様の働きをし、血糖値の上昇を抑制しながら腸内環境も改善してくれます。つまり、冷やし焼き芋は単なる美味しいおやつではなく、科学的根拠に基づいた機能性食品なのです…!
また、調理法の選択によって、同じさつまいもでも糖質制限への適性が大きく変わることも重要な発見でした。茹でる(GI値40-50)や蒸す(GI値45-50)といった調理法を選び、焼く調理法(GI値80-85)は避けるか、冷やして食べる工夫をすることで、血糖値の急激な上昇を防ぐことができます。
摂取量とタイミングについても、文部科学省のデータに基づく正確な糖質量(29.7g/100g)を把握し、朝食時に50g程度(糖質約15g)を目安とすることで、1日の糖質制限目標値内で楽しむことができます。夜間の摂取は脂肪蓄積のリスクが高まるため、午後3時までの摂取が推奨されます。
糖質制限ダイエットの成功には、継続性が何より重要です。極端な制限は挫折の原因となりがちですが、さつまいものような満足感の高い食材を上手に活用することで、ストレスを軽減しながら長期的な成果を得ることができるでしょう。
最後に、どんなに優秀な食材でも、食べ過ぎは禁物です。1日の総糖質量をしっかりと管理し、バランスの取れた食事の一部としてさつまいもを楽しんでください。また、糖尿病などの疾患がある方は、必ず主治医にご相談の上で食事に取り入れることが重要です。
適切な知識と工夫があれば、糖質制限中でも豊かな食生活を送ることができるのです。あなたの糖質制限ダイエットが、さつまいもという素晴らしい食材とともに、より楽しく、より健康的なものになることを心から願っています…!
参考文献・引用元
- 文部科学省「食品成分データベース」
- 亀井 文, 高橋 遥,”さつまいもの加熱調理直後、冷蔵保存及び再加熱によるレジスタントスターチ量の変化”,宮城教育大学紀要,53,2019,211-216
- 亀井 文, 佐藤 岳志,”炊飯時の加水量および米飯の保存温度と時間の違いによるレジスタントスターチ量の変化について”,宮城教育大学紀要,50,2016,165-170
- 海老原清,”レジスタントスターチの栄養・生理機能”,日本調理科学会誌,Vol. 47,No. 1,2014,49~52
- 後藤 勝,”レジスタントスターチの開発”,日本家政学会誌,Vol. 65,No. 4,2014,197~202
※この記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の医学的アドバイスではありません。糖質制限ダイエットを始める前に、医師や管理栄養士にご相談することをおすすめします。特に糖尿病などの疾患がある方は、必ず主治医の指導の下で食事療法を行ってください。